HANAUTA Blog

日々を心地よい旅へ

本は読み手のものになる

 みなさま、本日はいかがお過ごしになられましたか。

 今日は私のいる地域は、昼から雨が降るという予報があり、午前中に、昨日、切ったままにしていた丸太を、棚に並べようとしたのですが、虫食いもありましたし、もしかして、一度雨晒しにした方が良いのでは?と、思い、デッキだけ箒をかけて、外の作業を終えました。

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 13日から、気温も暖かくなり、雪の下から出てきた落ち葉の回収も中途半端ですし、明日以降、なんとかしようかなと、思ったのですが、明日以降も、雨が何日が続くようです。

 午後は、1日、雨だと思っていたので、そういう日は、身体も、思うように動きませんし、クッキーでも作って、途中読みの本でも読もうかと思いながら、ぼーっと過ごしました。

 ですが、昼を過ぎても雨は降ってきませんでした。

 お庭のことは、少しやっても良かったかもしれません。

 

 

 さて、今日は本について少し。

 

 青山美智子著『 お探し物は図書室まで』

 

 『お探し物は図書室まで』は、それぞれ悩みを持った登場人物たちが、まちの図書室で、キャラクターの濃い司書さんに、目的に合った本と、それとはちょっとズレていると感じる本、そして羊毛フェルトの「ふろく」を渡され、ちょっとズレてる本から、ヒントを見つけだし、悩みと向き合い、自らを発見し、前へと進んでいくお話です。

 

 この本、本当に優しい人しか出てこないんです。

 嫌味があっても、誰かを傷つけるたり、誰からも、疎まれるような人間が出てこない。絶望もありません。

 少しすると、そんな優しい世界は、絵本や、児童書のような様子になってしまいそうですが、登場人物たちの抱えている悩みや問題は、大人になってから抱えるものなのです。

 その問題を社会の中で、折り合いをつけて、進んでいこうとする美しい姿が描かれていく。

 そして、それは、とても個人的な解決の仕方なのです。本からヒントを得て、行動する。そして、その行動の先にある、人同士の繋がりの中で、答えに近い何かを見出していく。

 どんな人でも、超個人的な悩みを、誰かに相談するということは、とてもハードルの高いものだと思います。人生を左右させることだとすれば、なおさらです。それを、この物語の登場人物たちは、本と自分とゆるやかな人との繋がりで、前に進んでいく。

 本当に素敵な物語なのです。

 この本を読んで、自分のために書いてくれたと思う方は、大勢いるのでは、ないのでしょうか。そのぐらい、身近な、誰にでもありそうな問題、悩みが描かれています。これは、青山さんの他作品である『ただいま神様当番』や『

猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫)』にも出てきますので、この3つを読むと、ピタリとくる登場人物がいるかもしれません。

 

 先日、山内図書館主催で、青山美智子さんの「本との出会い」をテーマにした講演会

があり、Webで公聴することができました。これは、どこかにアーカイブが出るのでしょうか。また、機会があれば、こちらの感想を書いてもよさそうですね。とても興味深い内容でした。

 この講演会の中で、何度も『お探し物は図書室まで』のお話も出てきたのですが、青山さんへの質問の中に「どのように読んでほしいか」ということを言われた方がいらっしゃり、そのお答えに「私の手を離れた時点で、その物語は読み手の方のものなんです」というような事をおっしゃっていました。私は、この言葉に、ハッとしました。

 確かに、物語を描く際には、テーマがあるかもしれませんが、それが100%自身が思った通りに伝わるということは無いでしょう。

 読み手のその時の年齢、性別、社会的地位、心情によって、物語の捉え方は違うものになるはずです。

 それを青山さんは、ご理解なさった上で、作品を発表してくださっているということで、青山さんの描かれる物語の、優しさに繋がっているのかもしれません。

 

 青山さんの作品、感想を言いたい!と思っているものたくさんありますので、また書ければと思います。

 

 では、また明日、お会いしましょう。